北斗14号を降りた後に東室蘭駅のホームで待っていると
苫小牧方から2両編成のディーゼルカーがやってきた。
14時54分発の室蘭行きワンマンカーである。
北斗14号から下車した人たちがこの室蘭行に乗るのかと思いきや、
ほとんどが改札のほうへと消えていった。
どうやら室蘭市の玄関は東室蘭駅らしい。室蘭本線という大幹線に、
札幌〜函館間の特急列車のルートが重なったから当然とも言える。
九州で言うなら、博多と小倉がそれぞれ札幌と東室蘭、
門司港が室蘭に相当するみたいだ。

 東室蘭から終点の室蘭まで3駅しかないが、
その中に御崎、母恋という名の駅があった。
何という響きの駅名だろうかと思う。
雨の中で見るといっそう趣深い。
この先に断崖絶壁の地球岬があることを考えると、
海を見たくなってしまう。
すべてアイヌの言葉に由来するものだろうが、
よくこのような漢字を宛がって地名としたものだと感心する。
室蘭行きのディーゼルカーはどの駅にも同じように停まり、
同じように離れていく。

 2両編成のディーゼルカーはゆっくりと走る。
乗客の数はすべてのボックスが埋まる程度である。
半分が学生、残り半分が地元の利用者と思しき中高年齢層だった。
民家が尽きることはなく、原野に点在する道内の各都市と違って、
人々の営みが昔から続いてきたことを物語っているように思う。

 室蘭本線は室蘭から苫小牧を経て、
追分で夕張線を東に分ける岩見沢までの幹線である。
夕張の炭鉱と石狩炭田から、
鉄鋼都市・室蘭へ石炭を運ぶ路線と考えれば当然のルート。
貨物、それも石炭輸送主体の路線なら当然複線ともなるだろう。
石狩・夕張から道南にかけては、北九州によく似ていると思う。
かつての大工業都市、大港湾都市として栄えた室蘭への
路線であるから、大事な幹線には違いない。
その複線電化された終着駅でゆっくりと停止した。

 工業背景が変化したせいで衰退してしまった町であるが、
駅前ロータリーはしっかり整備されていて寂しいものではなかった。
複線電化されている幹線の終着駅としては小ぢんまりしたイメージは
払拭できないが、地元の人たちに大切に使われている様子が窺える。
もっとも、歴史の古さから、モダンな造りよりも門司港駅のような
古めかしい造りの駅を想像していただけに、
少しだけ落胆してしまったのだった。



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室蘭本線の旅
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