昔からの本線だった東室蘭〜室蘭間を旅した後は、東室蘭駅へ戻る。
半島状に海に突き出た室蘭の市街地だから、
北へ抜ける橋を渡るか、船に乗るか以外は東室蘭を経由することになる。
その東室蘭駅では、自由席の乗車口に列ができていた。
やってきたのは特急スーパー北斗13号・札幌行きである。
需要は大きいようで指定席のほうはほぼ満席だった。
ヘッドマークにはHOKUTOの文字とともに北斗七星が描かれている。

 16時28分の定刻に入線となったが、
駅員が一人、救急箱を持って待機していた。
それを車掌およびツインクルレディに引き継ぐのに手間取ったのか、
3分遅れで発車した。
北海道フリーパスを持っているので、もちろん3号車グリーン車に乗り込む。
プラグドアが閉まってエンジンが大きく唸り始めると東室蘭駅をあとにした。

 グリーン車がハイデッカーでないのは残念だが、
その分スピードが段違いだ。
この車両、北海道を代表する高速特急ディーゼルカーである。
寒冷地での厳しい条件を最初に克服したスーパー北斗は
勇壮にエンジンを鳴らして勇払原野を駆け抜ける。
3分の遅れなどすぐに回復してしまいそうだ。
特急列車らしくスピードを出しているので、
うるさいというよりも勇ましく聞こえる。

 早速ツインクルレディがあいさつで迎えてくれた。
停車駅が近づいては制帽をかぶり、乗降用扉の前で待機して
下車客にも乗車客にも笑顔で挨拶している。
車内改札で終点まで行かずに
途中下車するとわかれば乗換えるのか訊かれる。
「乗り換える」と答えれば行先を訊かれ、
乗換え時間とのりばを教えてくれる。
何というか、ここまで行き届いたサービスは初めてだ。
思わず恐縮してしまう。
新幹線といえどもこうはいかない。
ドリンクサービスは本日3度目、コーヒーを注文する。
45分しか乗らない贅沢なグリーン車利用客ゆえ、
なんと申し訳のないことか。

 東室蘭発車時点での3分の遅れはなかなか縮まらないようだ。
登別でも苫小牧でも3分遅れだった。
遅れが回復しなかった原因は車体下部に付着した雪塊が落ちたときに、
線路のバラストを跳ね上げないように減速していたためらしい。
安全措置のためとわかり、ほっとする。
十分に高速だったと思うのだが。
ツインクルレディが停車駅接近とともに知らせてくれて、
遅れをきちんと謝罪したのには幾度となく感心させられた。

 沼ノ端で室蘭本線と分かれると植苗、美々を高速で通過し、
左に千歳空港の滑走路が見えてくる。
17時19分、南千歳到着。
エンジン音も高らかに、終着札幌へと発車していくのを見送った。



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特急スーパー北斗の旅

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