スーパーおおぞら12号で札幌駅に着いて15分後の5・6番線。
寝台車を挟んだ7両編成のディーゼルカーが入線してきた。
釧路行きの特急<まりも>である。
先ほどまでいた池田から100km東にある釧路に行くのに
いったん札幌に戻るという、大いなる無駄を敢行しているわけである。

 同じルートを通るのは味気ないが、
昼行特急の<スーパーおおぞら>と夜行列車の<まりも>では、
風景こそ同じなれど客層も流れる時間もまったく異なる。
いや、静寂を保つ夜行列車の車内からであれば
風景の見え方も違ってくるのである。
こんな芸当ができるのも北海道フリーパスのおかげである。

 道東、それも南部の釧路近辺を連想させるものといえば、
釧路湿原のシンボル・タンチョウヅルと、阿寒湖のまりもである。
それぞれ特急<おおぞら>、<まりも>として札幌〜釧路間を駆けている。
ただ、この<まりも>のヘッドマークに描かれたまりもと阿寒湖の背景に
そびえる山は雄阿寒岳だろうか、それとも雌阿寒岳だろうか。
少々気になる。
スラントノーズのキハ183系にはこんなヘッドマークは
よく似合っていると思う。

 <スーパーおおぞら>到着から<まりも>の入線まで
15分しかなかったので、中央通路に下りてみるとまだ駅弁を売っていた。
道内各方面への昼行特急列車の最終列車が出た後は、
駅弁は一箇所に集められて中央通路にて販売される。
これがしかもけっこう売れていく様子で、
夜行列車が発車し始める22時前からは売れ行きがよい様子。
ぼくが乗る“まりも”の2分後には稚内行きの“利尻”しかないため
最後の営業といったところだが、駅弁も残り5つ程度しかなかった。
“石狩鮭めし”を買って、<まりも>に乗る。
3号車・禁煙のB寝台車であり、
「SLEEPNG CAR」の文字が誇らしげに書かれている。

 乗車と同時に車掌が指定券、寝台券の確認にやってきた。
発車時刻が23時とかなり遅いため、自分の寝台を確認して荷を解くと
カーテンを閉めてしまう人が多いのだ。
座席指定のほうは後回しにして寝台車に目を利かせている。
発車してしまえば、アナウンス後に放送はカット、
動きがなくなるからでもある。
寝台はほぼ満席。夜行需要がまだまだ生きていることの証だ。

 お茶を飲む。
駅弁屋で売っているものはペットボトルなどではなく、購入と同時に
お湯を注いで手揉みする懐かしいタイプだった。

 23時ちょうど、エンジンをひときわ唸らせた<まりも>は
ネオンや街灯のあふれる札幌の街をあとにした。
<利尻>と同様、寝台車は連結器がディーゼルカー用に
改造されているので発車時の衝撃もなく乗り心地も上々だ。
車内放送も始まり、停車駅の案内などが告げられる。
発車間際に乗り込んできた寝台客に声をかけて寝台券を確認する。
多くの乗客が、まだ寝台や通路の椅子に腰掛けて
旅立ちの余韻を楽しんでいる。
列車は副都心の新札幌を発車すると千歳線内をダッシュし始めた。

 40分ほどで南千歳に停車。
40人以上が乗車する。大きなスーツケースを持っている人が多く、
ほとんどが飛行機からの乗り継ぎ客と一目でわかる。
航空会社の名前入りの袋を携えた人もいた。
空港連絡特急の一面をもつ列車でもあるのだ。
釧路着が朝6時であれば、会社の始業時間にもらくらく間に合う。
その南千歳で寝台車にも乗車があり、
ついに2両の寝台車が満席となった。
寝台専用列車よりは定員がはるかに少ないから満席になりやすいが、
がらがらの寝台車よりも、見栄えがいいのは確かだ。

 南千歳からは石勝線に入る。
運転停車してすれ違う列車はほとんどがコンテナ列車である。
<スーパーおおぞら>とは速度がまったく違うため、
同じ夜の車窓でも雰囲気が異なる。
自分がどこに向かっているのだろうかと考える余裕ができている。

 線路脇の雪を照らすのは座席車の灯である。
寝台専用列車にはない明るさで、機関車牽引ではないにしろ
往年の夜行列車を思い起こさせてくれる。
これはこれで、ぼくは好きだ。




風雪の翼

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夜行特急<まりも> @

札幌近郊
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