風雪の翼・<スーパーおおぞら>
 池田駅からは札幌行きの特急<スーパーおおぞら12号>に
乗り継ぐ。これは6分で接続。
陸別での途中下車を除けば、今日列車の外にいた時間は
合計1時間ちょっとぐらいである。
我ながらスケジュールの出来映えに褒め称えられたい気分だ。
19時51分、入線してきたのは283系特急型ディーゼルカー。
今日は増結されて9両編成になっている。
冬季の北海道はブリザードなどにも遭いやすいから、
鉄道は確固たる移動手段として他の交通機関よりも優位な位置にある。
したがって需要は大きく、増結が慢性化している。

 車両ドアのそばには釧路方面の特急ということで
大空を羽ばたくタンチョウヅルをモチーフにした絵がある。
これは特急<おおぞら号>のヘッドマークにも描かれている。
ラムサール条約に登録された釧路湿原に舞い降りる
タンチョウは、国の天然記念物でもある。

 今回はグリーン車が満席だったので普通車指定席になった。
毎回毎回グリーン車ではJR北海道に申し訳ない気もするから
よしとしよう。19時52分、定刻に池田を発車する。

 座席は80%ほど埋まっていた。
それだけ釧路方面の乗客には<スーパーおおぞら>が
定着していることの証でもある。
今日のうちに札幌に着く最終列車でもあるから、
残りの座席には帯広から大量に乗ってきて満席になるのだろう。

 案の定、その通りになった。
帯広到着前に車内販売のワゴンは半分ぐらいしか
積まれていなかったから、どうするのだろうかと思う。
その帯広で2分停車ののち、20時14分に発車する。

 帯広発車時点でグリーン車に空席が1つあるらしく、
車掌が勧めてくれた。
北海道フリーパスを持っているが、そうグリーン車ばかりでは・・・
と恐縮していたのに気前のいい話である。
駅に携わる人のみならず、鉄道の周りにいる人すべてが温かく感じる。
内地から来た人にこんなにも温かくなれるものだろうか。
九州出身の自分にはわからない部分も多々ある。

 同じ指定席の乗客に恐縮しつつ、グリーン車に移る。
やはり座り心地がだいぶ違う。
早速ツインクルレディがやってきて、コーヒーを注文する。

 北斗などと同じ“スーパー”を冠したおおぞらであるが、
若干エンジン音が大きい気がする。
気になるのは唸りではなく、アイドリングの方だと思う。
山岳地帯用のエンジンを積み、極寒地の厳しい条件をクリアして
最速・最強の名をほしいままにしてきた車両ゆえに、
残念な気もする。
乗り心地はいいのでなおさらそう思う。
<おおぞら>はその高速化の効果が最もあり、
全列車スーパー化されている。
それが北斗とは違う点でもある。

 日高山脈の麓、十勝平野の西の端にある新得に着いた。
新得を発車すると、ものすごい勢いで加速を始めた。
狩勝峠に入ったのである。クラッチは一気に直結5段に入り、
トップスピードで峠道に挑んでいく。

 車体を傾け、まったくと言っていいほどスピードが落ちない。
昼間なら雄大な狩勝峠を大きくカーブを描きながら
駆けていくのだろうと思うと、夜であることは惜しいように思う。
これが今日の唯一のスケジュール上の失敗だろうか。
エンジンが唸ることでしか、
峠道であることを知る術がないことも少し恨めしく思う。

 デッキでの車掌のやり取りが聞こえてくる。
Rきっぷがどの乗客でSきっぷがどの乗客でとかを
すべて把握しているようだ。
こういった現場の努力がJR北海道の政策そのものに
きちんと反映されているように思う。

 ツインクルレディはレディの仕事、車掌は車掌の仕事で
きちんと棲み分けができており、連携もしっかりしている。
車内改札も行なう女性客室乗務員ばかりが目立って、
車掌の影が薄い印象のあるJR九州と最も異なる点だと思う。
改善すべき問題に取り組んでいるという点が評価できる。
別にグリーン車を勧めてくれたからというわけではないが・・・。

 狩勝峠を登りきって、21時04分トマムに停車。
1駅だが、33.8kmある。
新得から新夕張までの純粋に石勝線として開業した区間は、
平均駅間距離が約30km。
日高山脈の山中ゆえに最果ての旅情はあまり感じられないが、
原生林に囲まれた厳しい自然を感じることができる。

 気に入らないのはトマム駅そのものの利用者は地元の人たちではなく、
駅と直結するスキーリゾート施設の人だけだということ。
地元の臭いがまったくしない駅には、あまり惹かれない。

 トマムを出ると、占冠も新夕張も通過していく。
外は吹雪だが、降る雪が判別できないほどにスピードが出ている。
山も平野も雄大な北海道を走る列車とはどんなものか?
という問いの答えを具現化したような列車である。
連続するスノーシェッドと信号場、数多のトンネルを串刺しにして、
快調に飛ばす。音もなく深々と雪が降っている窓の外と、
エンジン音とジョイント音が響く車内とは対照的である。

 飛行機の灯が見えて、21時59分、南千歳に到着。
室蘭行きの特急<すずらん>、青森行の急行<はまなす>に
接続するらしい。グリーン車からは下車はなかったが、
普通車からはけっこうあったようである。

 残り30分・・・と思っていると、ツインクルレディがくず物の回収をはじめた。
設備にいたっては読書灯、レッグレスト、電動リクライニング、
オーディオサービスもイヤホン付、そしてドア上のLEDはニュース、
天気予報、停車駅間の現在位置を示して、至れり尽くせりである。
車掌室に車掌がいるかどうかもランプ1つでわかる。
乗務員の意見が反映されてる設計なのだろう。

 最後の停車駅、新札幌では半分ぐらいが降りた。
南千歳までは明かりのない区間ばかりだっただけに、
都市部の灯など一瞬で流れてしまう。
10分で札幌到着とのアナウンスが流れると、車内が動き出す。
身支度を整えているうちに、定刻の22時32分、札幌駅に到着。
氷雪を蹴って駆け抜けた3時間の旅が終わった。



オーロラの見える町で

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