東根室駅に停車した。

 ここで降りたいが、とりあえず終点の根室までは行っておきたい。
根室駅はホーム1本の小さな終着駅だった。時刻は19時前であるから
観光バスも出ているはずがない。とりあえず10分後の普通列車で
東根室まで引き返そうと思う。再び列車に乗り込む。

 しかしその前に、福岡で地震があったという知らせを兄からもらう。
福岡の父や母が気になるので電話した。幸い無事であったが、
家のダメージは大きいらしい。どうするべきか考えるがどうしようもない。
ここから千歳まで引き返してもいいが、結局のところ日程を変えても
変えなくても釧路から<まりも>に乗るのが最善の策である。

 福岡に戻ったところで何ができるというのか。
かえって邪魔になったりはしないかと思う。ここからはどうあがいても
本州を目指さざるを得ないのだから、母と話をした結果、
旅を続けることにした。自分たちのことは自分たちですることになり、
5月の連休に九州へ行くことになりそうである。

 途方もない気持ちになっていたら東根室駅に着いてしまった。
釧路からの特急が夜行の<まりも>しかない以上、他に何もできない
のである。居ても立ってもいられないのに、そうするしかない。
少し落ち着かねばならぬと思い、寒空と冷たい風にさらされる無人駅に
降り立った。何かを考えるにはまたとない場所であろう。

 この先の根釧原野で降りてもよかったが、
この季節は人家がないとどこか心もとなくもある。東根室はすぐそこに
中学校もあるので、閑静な住宅地の中にある駅。
しかし、どこか最果ての雰囲気を漂わせている。
根室という名に“東”を冠しているからだろう。
西鹿児島や南宮崎がそうであるように、情緒のある駅なのだ。

 20時22分発の根室行に乗る。
やっと列車が来たかという気にもなるが、また来ようという気にもなる。
不思議な駅だった。

 根室行に乗るのは他でもない。
この時間だと釧路行が快速のみしかなくて、根室まで行って快速で
折り返す以外に方法がないのである。根室から快速<ノサップ>として
釧路まで折り返した。

 車窓でも見られたらいいのだが、真っ暗である。
他にすることがない状況に、家の状況とも相まってさらに焦りが加わる。
考えも何もまとまらないので仕方なく眠ることにした。

 釧路からも<まりも>に乗り換えたが、カーテンの中で
考えながら眠る。起きては考えるをくりかえすことになった。
根釧台地はなかなか因縁めいた土地になってしまったらしい。





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根室本線の旅 A
日本最東端の駅
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