<オホーツク9号>で網走に着いたあとは釧網本線である。

 今日は道東めぐりの一日となる。うれしい限りだ。
網走は道東を回るのであれば必ず立ち寄るところである。それなのに
めぼしい場所には行ったことがない。刑務所に行ってみたいかといえば
そうでもない。行きたいとすれば能取岬や原生花園、モヨロ貝塚である。
とくにモヨロ人というのは、アイヌとはまったく別の北方系民族であった
らしく、その貝塚が網走川の河口にある。

 そこに行く間もないまま、6時41分発の釧路行普通列車に乗る。
流氷観光やら何やらで、よそ者と思しき人が多い。ぼくのような物好きが
多いのかと思えば、今日は日曜日であった。納得してしまう。

 住宅地の中にある桂台を出るとオホーツク海に沿う。
港が近いのかわからないが、湾のようにも見える。鱒浦、藻琴を出ると
オホーツク海の沿岸部に出ていよいよ青い海が広がった。
沖合に薄っぺらく広がるのは雪原ではなく流氷原である。
これを見るために北海道に来たといっても過言ではないが、
如何せん遠い。近くまで来ないかと思う。これが海原の一面を埋め尽くせば
いかに荘厳雄大で日本的な風景日とは異質か、想像に難くない。

 右手には濤沸湖、左には氷に覆われた砂丘が続く。
灌木に覆われた部分もあれば、砂に埋もれた流木や番小屋しか眼に
入らない茫漠としたところを列車は突っ走る。右の濤沸湖も、白鳥で
にぎわっていたかもしれないが、左は左で流氷原が少しずつ近づいてきて
遠くには知床の山々が見え始めた。なかなかに忙しい。

 北浜に着く。
ここはオホーツク海に最も近い駅として知られるが、せっかく見え始めた
流氷がどのくらいまで近づいてきているのかを見たい。どうやら最盛期を
過ぎてしまっているのは承知せざるを得ないが、どこで途中下車するのが
一番よいのかはこの先の知床斜里まで見ておきたい。斜里からは網走行
普通列車ですぐに折り返せるからである。

 浜小清水を出ると、知床連山がますます近くなり始めた。
羅臼岳をはじめとするあの真っ白な山々に、北海道の熊の3割・約千頭が
棲んでいるという。そんなところに行くのか行かないのか、まったく関係ない
様子で列車は湿地と海との間の低い砂丘地帯を行く。波が荒い様子はなく
海面はいたって穏やかである。流氷原が近くなってきてはいるが、一面を
埋め尽くすほどではない。それでも、これだけ晴れたのであれば
来てよかったなと思える。天に、美しい青空に感謝だ。

 小さな川が流れ込んでいて、家があり、ときに駅もある。
止別駅であった。まだまだ流氷は見えている。その数が少なくても
流氷はここだけの車窓風景なので、他とは違うと思う。これが湧網線や
名寄本線、興浜北線、興部南線があればそちらに向かっていただろうが
すでに廃止されて過去のものとなっている。

 列車は降りられる場所が駅だけなので少々小憎らしくも思えるが、
流氷原に最も近いところは駅から結構距離があったので、ここはひとつ、
無人駅のホームでのんびりするのも悪くないと思う。そうやって列車を
待つことの味わいの深さ、面白さを誰よりもわかっているつもりだ。

 知床斜里着7時22分。
ここですれ違う網走行は7時28分発なので悠々間に合う。
折り返して先ほど見たオホーツク海を愛でながら、北浜駅へ着いた。





氷雪の常紋峠

ネコがいた駅

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流氷の海
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