釧路から最長片道切符を途中下車して、根室に向かう。
昨日は北の果て、今日は東の果てというわけである。
青春18切符をに今日の日付を入れてもらい、3番線に向かう。

 東に終着駅・根室への普通列車。
もう北海道ではおなじみのワンマンカーだが、
最果てのローカル線はほとんどがこの車両である。
13時09分、札幌からの<スーパーおおぞら>の接続を受けて発車。

 釧網本線と分かれる東釧路、武佐などで少しずつ乗客を降ろす。
が、そこからは住宅地を離れるため、駅でもほとんど下車はなくなる。
エゾマツの林が続く。別保から2本のトンネルを抜けて再び平野部へ。
放牧地の中を抜けて、門静から海に出ると厚岸に着く。

 厚岸名物の“かきめし”の立ち売りはなかった。
以前に来た時もなかった。午前中で売り切れるらしい。
1本早い快速<ノサップ>なら間に合ったかもしれない。
釧路湿原で列車を遅らせた雨がやはし恨めしい。

 厚岸を出ると厚岸湖に沿って走る。
太平洋から入り込んだ厚岸湾のさらに奥にくびれこんだ気水湖。
対岸は半島になっていて霧多布岬へと通じている。
秋になればアッケシソウで真っ赤に色付くが、シーズンにはまだ早い。
そのかわり、湾の入口をまたぐ大きな赤い海上橋が望まれる。

 草の生えた湾に沿って走っていくと、いつしか湿原の中に出る。
厚岸から糸魚沢までの10分間はほとんどが
厚岸湾と美しい湿原のほとりの風景である。
この大湿原には、タンチョウやオジロワシも見ることができる。

 糸魚沢を過ぎると湿原から根釧台地の上に駆け上がる。
大地の南端にある茶内、浜中の一帯は
広葉樹と酪農地が交互に現れるのんびりとしたところ。

 小さなジャンクションだった厚床に着く。
簡素なたたずまいの駅に「旧標津線の分岐駅」とあった。
真ん中の線路は撤去されていて、ターンテーブル跡だけが残る。
対向列車と行き違ったので、こちらが最東端の列車となる。

 厚床で根釧台地は終わる。
戦後、釧路が商工業水産都市として発展して
根室に格差をつけたとき、“根釧台地”を“釧根大地”と改称しよう
という話が持ち上がったそうだが、本来あるべき地名に
敬意を表すべしとして、没になったそうだ。

 線路は根室半島の尾根を行く。
千島列島に向かって細長い手を差し出した格好の半島である。
初田牛、別当賀と牧場の真ん中を走る。
別当賀から落石まではササで覆われた丘陵と崖の上。
厚い雲の切れ目から陽光が太平洋へと注いでいる。
丘陵の上に牧場があり、海が見渡せるのはここの線路だけ。
その丘陵も海と接するところは断崖となってストンと落ちる。
こんな場所が日本にもあったのかと思う。
ミズナラの大木が奇妙なねじまがった姿で林立し、
本州なら亜高山帯まで登らないと見られない植生が広がる。

 落石、昆布盛、花咲を過ぎると普通列車は東進をやめる。
日本最東端の駅・東根室に着いたのである。
雨で釧網本線の列車が遅れなければ途中下車しているところ。
また同じように悔やむのかと思う。
到着時点で線路は北を向いており、ここから西寄りに進路をとる。

 終着駅・根室へ。
駅の端に途切れてしまった線路。
駅前には納沙布岬行のバスが出ている。
が、時間がない。
今日は雨に揺さぶられる一日となったことに観念して、
乗ってきた列車で折り返すことにする。



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最東端の路・根室本線

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