8月18日(木)

 朝5時に起きてからホテル近くにあった、
“土方歳三最期の地・一本木関門”を見て、朝市に行く。
まだ賑わっているというほどの人の数ではなかったが、店の人は元気そのもの。
声をかけられるが、昨夜の塩ラーメンとあんかけチャーハンが残っている。
朝からそんなに食べられないなと思いながら、駅に向かう。

 五稜郭までは最長片道切符のルートから外れているので
200円の近距離切符を買って改札をくぐる。
今日の1番手は八戸行の特急<スーパー白鳥10号>である。
始発から終点まで忠実に最長片道切符の経由地を通ってくれるうれしい列車だ。
ドアのウィンドーには津軽海峡が描かれている。

 空席も埋まる様子がないまま、7時ジャストに発車する。
5分で五稜郭に停車。40〜50人くらいが乗ってきた。
分岐器を渡って切符のルート上9つ目の路線・江差線に入る。
単線電化で高速化はされていないらしく、駅に進入する際にはガクンと揺れる。

 五稜郭発車後に車内改札があった。乗車券と特急券を見せる。
稚内→肥前山口なら津軽海峡線を通ることは避けられぬとわかっていながら、
東北本線・八戸までの経由地をしっかりと確認していた。
空いていた車内とはいえ、丁寧で新鮮な対応に感じた。

 左手に見えていた函館山が後方に去っていくと、
丘陵上を津軽海峡に沿って走る。対岸に見えているのは本州である。
もうそんなところまで来たのかとさえ思う。
7時38分、木古内に着く。指定席に乗ってくる人はあまりいない。
江差方面は乗換え、松前方面は駅前からバスに乗換えと告げられた。

 木古内を発車すると、10番目の路線・津軽海峡線に足を踏み入れる。
複線電化となって一気に加速、トップスピードは時速140km。
青函トンネルに入ると、トンネル全長は53.85km、
海底から約100m下を列車は通るというテープが流れる。
海底部に達したようで吉岡海底駅を通過し、青いネオンが流れると最深部へ。
海底トンネルとはいえ、座っていればただただ彩られることのない
トンネルの車窓が40分続くだけである。
とするならば、やはり瀬戸大橋のように島や海を眺められるほうがいいだろう。

 竜飛海底を通過し、本州に出る。
大小7つの陸上トンネルを抜けて、新中小国信号場を通過。
中小国からは11番目の路線・津軽線へと入り、蟹田に停車する。
いよいよJR東日本となる。陸奥湾に沿って走ると30分で青森に到着。
東北本線と奥羽本線とが並び、青函連絡船が発着した北海道への入口である。
ゆっくりと構内へ進入し、進行方向が変わることが告げられる。

 各車両30人ほどが乗車し、函館行の<日本海1号>を先発させてから発車。
「この先、ポイント通過のため揺れます。お立ちのお客様はご注意ください。」
と、テープが流れる。JR北海道は最後まで丁寧だ。
車内販売員も変わったようで、明らかにイントネーションが違う。
バカにしているわけではないが、思わずクスリと笑ってしまった。。。
東北の香りがする。青森の駅でも見送りの人がたくさんいた。

 青森から12番目の路線・東北本線を快走する。
15分で浅虫温泉を通過。左手に陸奥湾が広がる。
湾とは思えないような広い海だ。
鉞の形をしている下北半島の付け根を通過して水田が広がり始める。
ちょうど穂がつくかつかないかという頃で、青々としている。

 鉄道防雪林として植えられた木々が並ぶ野辺地に9時23分、到着。
ここで途中下車する。スーパー白鳥と別れることで北海道ともお別れである。
車内販売嬢の「おのみものはいかがですかぁ〜」「失礼しましたぁ〜」
という東北弁は印象的であった。
東北の特急はこういった風情も持つのかとさえ思った。

 野辺地で途中下車印をもらう。そばのいいにおいがする。
そういえば立ち食いそばは1日目の音威子府駅以来食べていない。
食べようかどうしようか迷った挙句に、陸奥湾産のほたてめしを買う。
2番線に行くと、臨時の特急<つがる72号>が着いたところであった。
ここから、下北半島のほうへ伸びる大湊線に乗る。


 大湊線の快速<しもきた>で野辺地まで戻る。
11分で接続する特急<つがる16号>八戸行に乗る。
大湊線からの乗り継ぎ客を吸収して、自由席は満杯。
やはり<スーパー白鳥10号>に乗ったまま
八戸まで行ってしまったほうがよかったのだろうか。

 しかし、青森県をただ通過するだけの県にするのには惜しかったし、
特急だけでは味わうことができないものもあったので、
少しでも堪能したほうが正解だっただろう。
特急<つがる>にも乗れたわけだし。

 12時08分、発車する。
デッキに座り込んで日記を書くのも悪くない。
自分が贅沢三昧で旅をしているのではないことを少しでも実感できるからだ。
そうなれば、少しでも節約しようかという気持ちも湧いてくる。

 鉄道防雪林を抜けて、峠らしき場所を越える。
真新しい電車特急では峠らしさというものが感じられない。
蒸気機関車があえいで登ったという十三本木峠だろうか?
と思ったが、それは岩手・青森県境の峠であったことを思い出した。

 水田地帯に出て住宅地が現れると三沢に停車。
八戸まで新幹線が開業して、最も恩恵を受けている地域ではないだろうか。
三沢から10分ちょっとで八戸に着くからである。
12時42分、終点・八戸到着。
ほぼすべての人が新幹線のりかえ口へと向かう。



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 下北半島・大湊線

6.噴火湾と駒ケ岳

8.古色蒼然たるディーゼルカー

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最長片道切符の旅・5日目
7.津軽海峡を越えて
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