横手から奥羽本線の新庄行普通列車で南下する。

 こういった乗る機会に恵まれない路線にはぜひ乗っておきたいと思う。
横手をはじめとする大曲〜新庄間の奥羽本線各駅は、山形新幹線と
秋田新幹線の谷間にあり、特急も走らないローカル線と化している。
そしてさらに山形・秋田県境の峠があるため、閑散としているのである。

 横手から20分で湯沢に着く。
横手で立客が出るほどの乗車があったのに、さらに大量に乗ってくる。
これから乗降の少ない県境に向かうというのに、変だ。

 秋田県南部を走っているから、水田を彩っているのは秋田こまちだろうか。
稲田が減って山中に分け入っていくと、県境の駅・院内に着く。
ここで10人が下車。それでも車内は混んでいる。
新庄から山形新幹線に乗り継ぐ人達なのだろうか。

 院内からは峠路。
複線となった奥羽本線はカーブを繰り返し、鉄橋で谷を跨ぐ。
トンネルで県境を越えて、難読駅名の及位に着いた。
“のぞき”と読む。
その及位駅で対向の普通列車を待つ。

 再び単線となり、大滝駅で及位中学の生徒が大量に乗ってくる。
今日は釜石線といい、この奥羽本線といい、学生に圧迫される日らしい。
1つ先の釜淵駅でみんな降りていった。
何だったのだろうか・・・。

 県境のサミットを越えたので下り坂となる。
前方を見ると、幹線の線路らしからぬ状況で草は生え放題だ。
真室川、羽前豊里と停まる。もう羽前の国かと思う。
長旅はまだまだ続くことを考えると、感慨も深くなる。

 案内放送が流れて13時37分、終点・新庄に到着。
列車から吐き出された人の90%が1番ホームに停車中の
東京行<つばさ118号>に吸い込まれていった。
ぼくは改札を出る。

 “駅弁”の印がついた弁当がなかったので、おにぎりを買う。
さらに、最上物産展でさくらんぼを買う。
14時に改札を抜けると、これから乗る陸羽西線普通列車は停車中だった。
14時20分発の酒田行である。

 この陸羽西線は“奥の細道最上川ライン”の別称が付いている。
奥羽本線の普通列車が先発してから発車し、盆地の中を走る。
まっすぐに敷かれた線路の周りは一面の水田。
山形だからササニシキだろうか。

 草も生える線路は“細道”さながらであるが、谷は深くならない。
迫ってくる山々は出羽山地であるのに、エンジンが唸る様子もない。
これもすべて最上川が道を開いているからであろうか?

 古口で新庄行普通列車とすれ違うと、最上川が寄り添うようになる。
“川は交通路の母”という言葉を裏付けるようだ。
流れは雄大であるし、水量は豊富である。
この広い川幅が谷の広さに結びついているように思う。
急勾配や峠路がないのもそのためだろう。

 清川という駅が途中にある。
幕末に新撰組の元となった、浪士組を作った清河八郎の故郷である。
アピールするべく旗が並んでいた。
この先、広い谷がさらに広がって庄内平野に出る。

 黄緑色の稲穂の絨毯の向こうに、風力発電のプロペラが見えた。
日本の穀倉地帯にこういったものがあるとは意外でもある。
民家が建て込むこともないまま左手から羽越本線が近づいてきて、
余目駅3番線に到着。
終着駅というわけでもないので2分後の快速最上川4号・新庄行で折り返す。
降りる人は10人程度。
車内のほとんどが酒田までの乗客だった。

奥羽本線・陸羽西線の旅

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