8月22日(月)

 起きたら6時30分。これまでで最も遅い起床時間だ。
熟睡できたと思う。朝食をとってから仙台駅へ向かう。
昨日の友人は、今日の昼から北へ抜けて青森から札幌行の
夜行急行<はまなす>に乗るらしい。
お互い旅慣れしたものどうし、元気なものだ。

 よく考えたら宮城は4,5日前に大きな地震があったところである。
確かあのときはまだ、北海道にいて五稜郭を回っていた。
翌日に東北新幹線に乗るから定時運行になるのか心配したから
よく覚えている。昨日の夜から見るかぎり、地震があったとは
思えないほどに町行く人々は何食わぬ顔をしている。
鉄道運行に大きな影響が出なかったことも幸いだった。
我ながら悪運の強いことだ。

 仙台駅14番線に上がる。
これから乗るのは東京行<やまびこ204号>である。
子供の頃から持っていた“緑の新幹線”のイメージは完全に
払拭されるほどにリニューアルされている。
昔のイメージはずんぐりとした先頭部にしかなく、まるで別の車両だ。

 杜の都・仙台をあとにする。
さすがに新幹線。揺れないイメージは八戸〜盛岡間で経験済である。
振動があると思うのは、最近の新幹線が揺れなさ過ぎるためだと思う。
15分で白石蔵王に停車。
けっこう乗ってくる。周りは住宅地と工場のみ。
どこかへ通勤する人のようにも見える。ベッドタウンらしい。

 白石蔵王から加速すると福島盆地に入り、
東北本線が寄り添って、右から山形新幹線が合流すると
8時ちょうどに福島到着。多くの人が降りて階段へ消えていく。
そのほとんどが白石蔵王からのようだ。

 駅弁を買おうか迷う。
でも結局やめてしまい、在来線乗換え口へ向かう。
高校生でいっぱいの階段を3番線へ下りる。
福島からは4度目の東北本線である。

 本来ならば新幹線は在来線の並行路線として、
運賃計算上同一路線とみなされる。営業キロも同一で設定されている。
が、新幹線のみの独立した駅がある場合は例外として扱われる。
このような区間の乗車券は経路指定をする必要があり、別線扱いされる。
その1つが先程の白石蔵王を含む、仙台〜福島間である。
したがって、“仙台〜白石蔵王経由〜福島〜岩沼”という
乗車券が存在し得る。最長片道切符のルート計算上の
カギの1つとなっているのは言うまでもない。
よって、8時07分発の仙台行普通列車にまんまと乗れるわけである。

 今度はロングシートではない。
車窓を堪能できそうなので安心して乗り込む。
福島交通、阿武隈急行と分かれて東福島に停車。
次の伊達駅で残っていたすべての高校生が下車していく。
左側に並ぶ東北新幹線の線路上を<はやて・こまち>が
勢いよく追い抜いていった。

 福島盆地を上っていく。
3日前の米沢盆地といい、この福島盆地といい、
盆地の淵に当たる部分から見下ろす風景は雄大だ。
トンネルに入ってしまう新幹線とは違う。

 白石蔵王駅に近い白石駅に停車してからは
仙台市まで流れる阿武隈川が寄り添ってくる。
川のほとりにサギが2羽、エサを探しながら歩いていた。

 少しずつ車内が混んでくる。
皆仙台へ行くようだ。福島から1時間で岩沼に到着。
右側に常磐線の線路が並ぶ。折り返してこの路線をたどらねばならない。
が、このまま仙台まで乗っていく。
常磐線は本数が少なく、仙台から特急列車に乗るためである。
9時27分、仙台到着。
岩沼からの乗り越し料金を払って改札を出る。
ついでに朝ドタバタしてもらえなかった途中下車印ももらう。
昨日はあおば通りまで行ってしまったからでもある。
白松がモナカと駅弁“鮭はらこめし”、
それから岩沼までの乗車券を買ってから、6番線に下りた。

 仙台からは上野行の特急<スーパーひたち32号>に乗る。
停まっていたのは8〜11号車の4両編成で、
途中のいわき駅から1〜7号車を連結するらしい。
空いていたので指定席じゃなくて自由席にするべきであった。
今日は窓側ではなくて通路側だ。残念。

 10時21分、発車する。
名取や館腰など、仙台市街地の駅を通過して東北本線内を快走する。
先ほど通った岩沼駅も通過。2つの幹線の分岐点である。
ここから最長片道切符のルートに戻り、25番目の路線・常磐線に入る。
途端にスピードが落ち、ローカルムードが漂い始める。

 阿武隈川を渡って亘理駅を通過した。
小学校の卒業旅行に、大親友ヒロシと訪れた土地である。
あのときはいろいろな人に大変お世話になった。
いまでも感謝している。
いくら感謝しても感謝しきれない。
あれからもう12年が経ったとは信じられないが、
遠い昔といえばそんな気がしないでもない。不思議だ。
今回の旅でも、この先いろいろな人に出会うのだろうなと思う。
それがいつか思い出として、今日のように思い起こすのだろう。
自分だけが見える足跡をそこかしこに残しておきたい。
そう思う。

 「指定席をご利用のお客様、指定券の確認はいたしません。
あらかじめご了承ください。なお席を移られた方など、
一部のお客様には確認をさせていただく場合がございます。」
という放送があった。どういうことだろうか?
“席を移られたお客様”というが、そもそも車掌が巡回に来ない。
席を移ったかどうかなどわからないのではあるまいか?
それとも満席だからだろうか?
よくわからない。特急に乗って、車内改札がないとは拍子抜けだ。



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