8月28日(日)

 朝6時に起きる。
いつもながら列車に乗れるとなると、パッと目を覚ます。
いまだ寝坊はない。自分のことながら感心せずにはいられない。

 6時20分に銚子駅に着き、2番線に停車中の
八日市場回り千葉行普通電車に乗り込む。向かい側には成田線・
佐原経由の普通電車が停まっており、一瞬迷ってしまった。
車掌に確認をしてから席に落ち着く。

 八日市場回りといっても要するに総武本線である。
初乗り料金180円と所要時間5分で、最長片道切符のルート上の
駅・松岸に着く。曇がちだからか日差しが強くない。
過ごしやすいけど、夏らしいほうがぼくは好きだ。
3分停車して成田線の列車と接続をとる。
発車と同時に昨日通ってきた成田線が右へと分かれていく。

 水田を抜けて猿田、トンネルで丘を越えて飯岡、旭に停まる。
房総半島の形はわかるが、どんな地形なのかは今ひとつわからない。
馴染みがないのである。なだらかな地形が連続しているようだ。
民家のない地域はないらしく、どの駅でも10人くらいは乗ってくる。
八日市場、飯倉と停まってもあまり変化はない。

 7時27分、成東に到着。
ここで降りる。朝ご飯のようにあっさりとしているなと思う。
それが房総半島なのだろうか。
総武本線から0番線の電車に乗り換えたのは20人くらい。
この先は43番目の路線・東金線である。
短いローカル線だが、総武本線と外房線を結ぶ大事な路線だ。

 7時34分に大網行普通電車は発車した。
スピードは出ておらず、ゆっくりと走る。
本当に車窓は変わり映えしないなと思う。
険しい山が迎えてくれるわけでもない。自然の風景に乏しいのである。
それは人々が生活しているからに他ならないのだが。

 20分という短い時間で大網に着く。
東金線は住宅地ばかりで終わってしまった。磐越西線でご一緒した
弁護士さんは東金の団地でお仕事をされたらしいが、
なるほどと思ってしまった。

 大網で乗換える。
外房線が大きくカーブしていて、駅そのものは東金線と合わせて
三角形になっている。途中下車印も成東同様にもらっておく。
坦々と走る路線の場合は車掌や駅員が彩りを添えてくれることを
期待したいが、どうも東京が近いとそうはいかないらしい。
ここ2,3日で最長片道切符の経由地を確認してくれたのは
千葉駅の駅員さんと成田線の車掌どのだけである。

 大網駅2番線で待っていると、8時03分に特急列車がやってきた。
特急<ビューわかしお1号>安房鴨川行である。
側面には“房総ビューエクスプレス”と書いてある。
乗ってみるとガラガラだった。夏休みとはいえ日曜日。
混んでいるものとばかり思って指定席を取ったのに拍子抜けだ。
昨日の<フレッシュひたち>とは対照的である。

 席に落ち着くと驚いた。
乗り心地も座り心地も非常にいい。窓も大きくて快適だ。
房総半島の海をモチーフにした青色のシートに涼しさを感じる。
特急電車はこうでなくてはいけない。
落ち着いてゆったりと座れることが大事なのである。

 10分ごとに停まる。
茂原、上総一ノ宮、大原、そして8時41分に御宿着。
複線だった線路も単線になり、スピードも落ちた。
おかげでいままで読めなかった駅名も読めるようになった。
御宿ではリゾートホテルらしきものが2つ3つ。
海が近いのだろう。海水浴らしき下車客があった。

 車内販売も暇をもてあまし気味の様子。
何も言わずにただワゴンを押していくだけである。
本当に販売をしているのかすら怪しく思える。
ワゴンが現れたのはこの1回だけだった。

 8時46分、勝浦着。
ここから各駅停車となる。乗客も心得ている様子で、
50人ほどが待っていた。心得ているのはJRのほうも同じらしく、
この先の各駅は海水浴客で賑わうのである。
夏休み最後の日曜だというのに、乗客が少ないのは
小中学生が宿題に追われているせいか?それともクラゲのせいか?
乗ってきた人たちのほとんどが家族連れだった。
今日が満員にならなくて幸いだ。

 上総興津、安房小湊、安房天津など、海を連想させる駅名が
多くなった。車窓の海岸は険しい地形が続き、
海に突き出た小さな半島の間にある町を線路がつないでいる。
半島部を抜けるときは必ずトンネルである。
房総半島に目立った山はないが、南側には険しいらしい。
晴れていないのが残念である。

 9時15分、終点・安房鴨川着。
ここで乗換えとなるが、接続は2分。44番目の路線・外房線から
45番目の内房線に入るのにこんなに慌しいとは・・・。
実際、2分と経たずに発車ベルが鳴ってドアが閉まった。
鴨川の市街地を抜けるとトンネルをくぐり、海に出た。
太平洋である。

 太海に停車した後、ハイビスカスが咲く江見に停車。
左側が海なら右側の斜面側には棚田も目に入る。
もう刈入れが終わった水田もあり、稲が干されている。
刈入れが終わっていない水田は、この間の台風11号で
なぎ倒されたらしく、手で刈入れを行なう姿が見受けられた。
手作業でなくてはだめなのだろう。ぼくにとってみれば、
もうそんな季節なのかと思わされる光景だ。
10日前は稲穂揺れる穀倉地帯を走っていたというのに・・・。

 小さな無人駅が続く。
子供たちははしゃぎながら乗ってくる。
房総半島の先端が見える頃に車内改札があった。
「乗車券を拝見させていただきますが、18切符ですか?」
という。そんな風に見えたのだろうか。確かにカメラと三脚と時刻表を
持って、ボックスシートで窓を開けていたらそう見えるかもしれない。
「いいえ、こんな切符なんですが・・・。」
「うわぁ!ハイ結構ですよ。」
う〜む。確認しなくても大丈夫なのだろうか。

 半島末端部の町・千倉に着く。
東京行の特急<ビューさざなみ>の姿もある。
この辺りは静かな土地らしく、牧場もあった。そのそばの水田では
稲の刈入れの体験学習が行なわれており、手作業と体験学習とで
一石二鳥の様子だった。
半島の先端部を越えると、9時56分に館山に着いた。



36.水郷と坂東太郎

38.臨海工業地帯

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最長片道切符の旅・14日目
37.房総半島は曇り空
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