8月30日(火)

 8時半に起きる。こんな時間に起きるのも久しぶりな気がする。
いつもいつも23時就寝とか6時起床だったりして、始発列車に
乗ってばかりいたからである。
 パンが出てきた。
軽いものとおばさんは言うけど、朝食はありがたいものだ。
朝のニュースを見た後に、10時から墓参りに出かける。
カメラをくれた大叔父の墓参り。そして、そのカメラで旅を続ける。
不思議なめぐり合わせだと思う。
三脚とカメラを担いで、今年は何万kmも旅を続けている。

 墓地の入口にある一本のケヤキの木が印象的だった。
実は、墓参りらしき墓参りをした記憶がなかった。
どうやったらいいものか、しどろもどろである。
おじさんのカメラで日本中を旅するぼくを見て、どう思っただろうか。
「使い方がなっちゃいない!」
とか怒られているかもしれない。そんな考えが頭をめぐり始めると
暑さもセミの鳴き声も気にならなくなった。
一生に一度の大事な旅の折り返し点で、大事な区切りを一つ付けた。
墓の中から褒められているにせよ、怒られているにせよ、
いつかまた来ようと思う。

 小田急線生田駅でおばさんと別れる。
あれこれと思案しながら11時半過ぎに町田駅に着いた。
今日はいろんなものが頭をめぐっているらしい。
それでも旅を続ける。
今日が距離的には折り返し地点ぐらいだろうと思う。
名古屋に戻るのである。

 町田駅は昨日もそうだったがホームが工事中。
作業服を着た人が誘導している。暑くても長袖でなくちゃいけないのは
お疲れ様としか言いようがない。改札を通ったときにぼくの切符を見て
目を丸くした女性駅員とは対照的。半袖で涼しそうだった。

 11時43分発の快速電車・桜木町行に乗る。
各駅停車しかないと思っていたから乗ってみよう。
山手線と同じ車両(205系という)の10両編成がやってきた。
一番後ろに車椅子の乗客がいて駅員が手伝っている。
車椅子の乗客にはすぐに対応できるよう車掌に一番近いところに
乗せるのである。

 町田を出た電車は、成瀬を通過して長津田に停まる。
さらに十日市場を通過して中山、鴨居に停車。
沿線風景は変わり映えしない。宅地化が進んでいることぐらいしか
わからないが、毎日乗っていればどのあたりかわかるのだろう。
しかし、窓の外を見ている人など一人もいなかった。
そのうち、窓のない車両ができるのではないだろうかとさえ思う。

 正午になったところで新横浜に着いた。
56番目の路線・横浜線は終了である。この次の57番目の路線は
誰もが知る日本の大動脈・東海道新幹線である。
小田原、熱海、三島を通ることになるが、これは昨日御殿場線で
迂回しているため有効なのである。新富士という独立した駅があるため
三島〜静岡間は在来線とは別線扱いとなる。その三島〜静岡間の
東海道本線上に沼津〜富士が含まれているので、重複しないのだ。
東海道でのミソは、旧東海道本線こと御殿場線を活用することに
あったのである。箱根の山に礼を言いたい。

 乗換え口の有人改札を抜ける時に、自由席特急券と
最長片道切符を見せる。驚いた様子で
「これはすごい切符ですねぇ。新横浜、新横浜・・・・あ、ありました。
ありがとうございます。あと、有効期限も確認させてくださいね。」
と、2人がかりであった。途中下車印ももらうと、
“海・新横浜”とあった。これは業務用ではないだろうか?
「おつかれさまです。がんばってください!」
と2人揃って敬礼で送り出してくれた。
これからJR東海エリアを走り回るので気持ちのよいことである。

 新横浜駅4番線に上がると、まもなく500系新幹線が入線してきた。
<のぞみ17号>博多行きである。相変わらずインパクトの強い。
次の停車駅は“名古屋”とあった。
これに乗れば1時間半で今日は終りとなる。
が、乗ってはダメである。おもいっきり旅をしなくてはならない。
それに、新幹線が車窓を早送りしてしまうものと、東北・上越・長野の
各新幹線で懲りて知っているはずである。
よって、<こだま541号>で静岡まで行き、
そこから東海道本線を使うことにする。

 12時15分発の<こだま541号>新大阪行は300系新幹線だった。
さすがに大動脈。1時間に何本の新幹線が走っているというのか。
しかもすべて16両編成というから驚きである。
横浜では崎陽軒のシウマイが有名だが、
あまりに知られすぎているのでやめておく。
何度も通ったことのある東海道にも食べたことのないものはあるはず。
<こだま>なら各駅停車。
<のぞみ>に追い抜かれる駅では停車時間もあるだろう
もしかしたら鈍行列車同様の楽しみが見出せるかもしれない。
米原駅の新幹線ホームには駅弁屋がある。
同じものが小田原駅にもあるかもしれない。
そう思って、何も買わずに乗り込んだ。




44.甲斐路は暮れて

46.こだまの五十三次

最長片道切符の旅・16日目
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45.セミの声の中で
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