西明石からは72番目の路線・山陽本線である。

 山陽新幹線の新大阪〜西明石間は新神戸という新幹線のみの独立した駅が
あるので在来線の並行路線としてではなく、経路指定が必要な別線として
扱われる。これまでたどってきた東北新幹線・福島〜白石蔵王〜仙台、
上越新幹線・高崎〜上毛高原〜越後湯沢、東海道新幹線・三島〜新富士〜静岡
がそうである。これ以外にも東海道新幹線・名古屋〜岐阜羽島〜米原や
山陽新幹線・三原〜東広島〜広島と広島〜新岩国〜徳山が該当する。
よって、新大阪〜新神戸〜西明石〜尼崎というルートで1枚の切符が買える。
先日、大阪環状線で通った大阪駅を経由せずに行けるという仕組みである。

 西明石発13時21分発の新快速電車・米原方面長浜行に乗る。
近畿アーバンネットワークと掲げられたJR西日本のプロジェクトの主役であり、
いつ乗っても人が多い。下手をすると特急よりも速い最高時速130kmで
競合する私鉄に勝負を挑んでいるのである。

 4分で明石に着く。
西明石と違って活気がある。左手には日本の標準時を示す天文台も見えた。
明石を出るとまもなく明石海峡大橋が見え始める。橋の真下にある舞子駅を
通過して海沿いの須磨海岸を走る。海釣り公園もある。通勤客や地元の人が
多く海を熱心に眺める人はいないが、毎日こんな景色に接することができるのは
うらやましい限りだ。

 垂水、須磨、右から和田岬線の合流する兵庫を過ぎて13時36分、神戸着。
ここで一旦山陽本線を離れて7度目の東海道本線に入る。東海道本線が東京〜
神戸間となっているのは、やはり建設当時、神戸が重要な軍事拠点であり、
日本屈指の貿易港だったからであろう。北海道の小樽や今日通った舞鶴同様に
レンガ倉庫群があることからも拠点ぶりがわかる。

 神戸から4分で中心街の三ノ宮に着く。
さらに阪神大震災で大打撃を受けた六甲道、住吉を通過する。10年前、ここが
寸断されたときは九州への人の流れは飛行機へと移っていった。それがいまも
尾を引いているように思う。どうなることかと思ったが、鉄道の復旧のスピードは
すさまじかったのをよく覚えている。

 京阪神の新快速電車は便利である。
青春18切符を使う人たちでなくとも、その存在感の大きさゆえに
一度は乗ったことがあると言う人が少なからずいる。

 普通電車を追い抜く。
駅で退避している普通電車をではなく、走行中の普通電車をである。
京阪神の複々線はいつ来てもダイナミックである。内側を走る普通電車を外側の
新快速・特急列車が追い抜く。走っている列車をこんなに間近で見ることなど
普通はできない。追い抜く電車に乗っている人と目が合うこともしばしばあり、
思わず目をそらしてしまいたくなる。

 こういった電車同士のデッドヒートを終えて
西ノ宮を通過すると、福知山線が上を跨いでいって尼崎駅に13時54分着。
今日の旅はここで終わりである。

 続きは山陰から中国地方をジグザグに九州を目指すことになる。
もう終盤に向かおうとしていると考えると、なんだか急に寂しくなってきた。
途中下車印をもらって30分後の新快速電車に乗り、名古屋に戻った。



73.京都駅

75.北近畿

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最長片道切符の旅・23日目
74.デッドヒート
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