岡山から先、わざわざ最長片道切符のルートを外れてまで
四国に渡るのには2つ理由がある。1つは瀬戸大橋からの朝日を見たいこと。
もう一つは最長片道切符ゆえに四国にも足跡を残しておきたいことである。
さぬきうどんも食べたい。せっかく四国行の寝台特急に乗ったのだから
ということもある。要するに降りてしまうよりは面白いからである。

 山陽本線と分かれて宇野線に入る。
大元、備前西市、妹尾、備中箕島、早島、久々原と一気に通過し、茶屋町で
宇野線から本四備讃線に入る。複線高架橋の新しい線が続き、速度はグンと
あがってフルスピードで駆ける。

 朝日がきれいなので再びミニロビーに赴く。
4号車は2階が1人用A個室シングルデラックス、1階が2人用B個室の
サンライズツイン。他の車両は1人用のシングルや補助ベッドのある
シングルツイン、廉価版の1人用B個室・ソロで、シャワールームもある。

 6時53分、児島着。
ここはJR四国と西日本との境界駅なので、運転士と車掌が交代する。
長距離列車に限らず、乗客と車掌は一蓮托生であるはずなのに、なんだか
名残惜しい光景である。が、四国島内のことは当然のことながらJR四国の
車掌が一番よく知っているわけで、任せてしまった方が手っ取り早いのだろう。
郷にいらずんば郷に従えである。

 児島を出ると左手に競艇場を見ながら、鷲羽山トンネルを抜けて海上に出る。
列車に揺られながら海の景色を堪能でき、この高さから島々を眺められるのは
この瀬戸大橋だけのもの。ぼくはこの備讃瀬戸大橋からの眺めが一番好きだ。
島々を見ながら緩やかにカーブして四国へと伸びる連絡橋が見えるからである。
これから四国の旅が始まるという高揚感も否応なしに湧いてくるだろう。
今日はすぐに引き返してくるけど。

 途中、高速道路のパーキングエリアがある与島を渡る。
島の真ん中に吊橋の支柱が刺さっている。その身を橋にささげ、瀬戸大橋の
ために生まれてきたような島であることが地図上からもよくわかる。

 少しだけ雲に隠れていた太陽が顔を出した。
そんな朝日を見ながら缶コーヒーを飲む。夜行列車の朝にコーヒーは欠かせない。
こんなときは銘柄になどこだわらない。味云々よりもくつろぐ時間を楽しむことの
ほうが重要なのである。岡山で降りなくてよかったなと思う。

 造船所が見えてくると四国であり、高速道路とも分かれる。
やがてこちらも高速道路のようなジャンクション機能を持つトライアングルに
差し掛かり、線路が入り組んで立体交差をしているのが見える。一応ここは
宇多津駅の構内らしく、実際は駅を通らないが時刻表上で通過扱いになっている。

 予讃線に合流して坂出駅に到着。
岡山ほどではないが、下車があった。もう車内はガラガラである。
八十場、鴨川、讃岐府中、国分、端岡、鬼無、香西と通過して
“うどん王国・香川”を走る。終点・高松到着の放送が流れるとスピードが落ちて
高松駅6番線に7時26分着。

 乗客は旅の思い出にと列車をカメラに収めている。
大柄の車体の前面に朝日が描かれ、“Sunrise−Express”と書かれている。
ホームの端にある立ち食いうどん屋に行く。街中にあるさぬきうどん屋ではなく、
駅のものを選ぶのは他でもない。瀬戸大橋開通前に“国鉄・宇高連絡航路”として
宇野〜高松間を結んでいた連絡線のうどんだからである。

 旅人の腹を満たしてきたうどんを自分も腹に収めて
7時44分発の快速<マリンライナー12号>岡山行で折り返す。
再び瀬戸大橋を渡る頃には朝日はまばゆいばかり。
瀬戸大橋は何度渡ってもいい。紺碧の空がぼくに語りかけてきた。



最長片道切符の旅・25日目・姫路〜岡山

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寄り道・瀬戸大橋
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