9月5日(月)

 青春18切符の残り1日分を使い切ってしまおう。
だが台風14号が接近している。次は紀伊半島を回る予定だが、
太平洋の車窓は晴天のほうがよい。台風一過にしようと思う。
しかし青春18切符の有効期限は9月10日までなので、台風が来る前に
旅に出る。最長片道切符のほうは1ヶ月先まで有効なので、いかにすばらしい
切符で旅をしているのかよくわかる。

 問題は行先である。
思う存分に使わねば損だ。これは自分の信条としているところでもある。
旅をさせてもらっている身としてJRには十分感謝し、その上で
「鉄道も本望です。」と言わせるぐらいに思いっきり旅をする。
ギリギリ日帰り圏内にある岡山地区に決めた。
岡山なら赤穂線、吉備線、宇野線と最長片道切符ルート外の未乗線区がある。
これらに乗りに行こう。

 青春18切符の魅力は値段ではない。
その1枚の切符でどこまでも行けるというところにある。
手段は鈍行列車のみだが、行先としての選択肢は無限大。
どこまでも行けるのであるならば、一番列車から乗るのが当然だ。
千種発5時37分発の中央本線・名古屋行普通列車に乗る。

 10分で名古屋に着き、5番線に停車中の2両編成の普通電車に乗り換える。
短い編成だが、朝ならこんなものであろう。3番線には東京行の寝台特急
<はやぶさ・富士>が停まっていた。久しぶりに九州ブルートレインを見たが、
40分以上遅れている。この先遅れはしないかと頭を不安がよぎる。
大雨のため、関西本線、紀勢本線と名松線は運転を見合わせているらしい。

 美濃赤坂行普通列車は定刻の5時52分に名古屋駅をあとにして、
東海道本線を走り始めた。乗り慣れた路線であるが、木曽三川を渡るし、
関ヶ原では伊吹山の懐を走るので飽きることはない。東海道本線は
ダイヤの乱れもなく、大垣では網干行普通電車、米原では播州赤穂行の
新快速電車に楽々乗り継げた。西日本エリアに入るや否や、
目指す赤穂線直通の列車に乗れるのだから便利なものだ。

 新快速電車は好きである。
車両の運用効率を優先させたり、支社によって境界を設けて区間を区切ることが
多い昨今で、その俊足を生かして長距離は知り抜くからである。
今乗っているのは長浜発播州赤穂行で、250kmを3時間で走る列車だ。
ラッシュアワーの京阪神地区を貫いて10時ちょうどに姫路に着く。

 3分の停車時間で駅弁を買う。
姫路から先、赤穂線の列車として走るため英賀保、網干と各駅に停まる。
網干で後ろ8両を切り離して身軽になると相生に停車。
山陽本線・三原行普通電車に接続して赤穂線に入る。

 西相生、坂越と停まるうちにローカルムードが一気に濃くなる。
都会と田舎の境を抜ける時こそ、旅をしている気分を強く感じられる。
やはり列車に揺られ、こんな風景を見られるのがそういった瞬間である。

 10時38分、播州赤穂着。
向かい側2番線に停車中の三原行に乗り換える。10時39分に発車した。
その様子は慌しく、切り詰めすぎている感じがしないでもない。
もう少し余裕でもあれば、改札の外に出られるのにと思う。

 天和、備前福河、寒河と停まり、日生では6分停車する。
対向列車を待たせていたので実は時間調整の停車らしい。
ならば播州赤穂での接続を5分増やせば?と思う。播州赤穂でほとんど
ホームの空気を吸えなかったようなものであるから、日生で空気を吸おう。
駅の目の前に小豆島行のフェリー乗り場があった。
ホームにも看板がぶら下がっている。途中下車して行ってみたくなった。
すべての路線を乗り終えたらそんな旅がしたいと思う。

 車窓は田園風景である。
田畑と民家があり、その向こうには背の低い山々が連なる。
山の中をひたすら走る上郡経由の山陽本線と負けず劣らず景色がいい。
違っているとすればやはり駅名だろう。
駅の数が少なく駅間距離が長い山陽本線に対して、赤穂線には
伊部(いんべ)、香登(かがと)、長船(おさふね)、邑久(おく)、西大寺、
大多羅(おおだら)など、響きのよい名の駅が多い。山陽本線より30分余計に
かかってしまうが、山陽本線への接続が悪くて赤穂線を使うといいときもある。
姫路〜岡山間の混雑で疲れるのを避けたいならばこちらだろう。

 心地よいスピードで坦々と走ってくれる。
駅弁を食べるのにも最高の環境だ。姫路駅で買っておいた“あなご飯”を食べる。
香ばしいアナゴの蒲焼と錦糸玉子の駅弁だった。乗客の少ない車内の
ボックスシートは駅弁が気楽に食べられる。横座りのロングシートでは
立っている人の視線が気になる。目の前に人がいたらそれこそ注目の的なのだ。

 右側から複線の山陽本線の線路と新幹線の高架橋が現れて、
11時48分に東岡山に着く。ここで赤穂線46.9kmは終わりである。
山陽本線に入った普通電車は11時56分に岡山駅に到着した。



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