東海道は通いなれている。
何となく京都辺りかなと思っていると、長い鉄橋を渡って停車した。
大阪らしい。
渡った川は淀川で、大阪には運転士交代の運転停車である。
時刻は4時半。名古屋はあっさり通過していた。

 さらにウトウトしていたら、再び停車し、ドアが開く音がした。
姫路だろう。まだ眠い。どうも胃がもたれているようで落ち着かない。
頭上にある窓から見える空は白みはじめ、
朝が近いことを知らせてくれる。

 起きてロビーに行く。
ここで缶コーヒーを飲むのが好きだ。2ヶ月前の最長片道切符の旅の
途中でもこのロビーで飲んでいた。あの時より夜明けが遅い。
夜行列車に乗ると朝が待ち遠しいのはいつものこと。
あの清々しさは夜行列車にしかない。

 岡山・兵庫の県境を越えた6時過ぎにおはよう放送が入る。
車窓には吉野川が寄り添ってきて、県境の山々を水面に
映し出すほどに穏やかに流れている。もう東の空は明るい。
吉野川を渡れば10分で岡山である。百關を渡って定刻の
6時27分に到着。

 夜行列車には夜から朝へと変わる駅が存在する。
寝台特急<出雲>なら香住、<はやぶさ・富士>なら徳山である。
<サンライズ瀬戸・出雲>ならこの岡山駅がそうである。
7号車と8号車の間で<サンライズ出雲>を切り離す作業が
行なわれている。1〜7号車からは半分ぐらいが降りたようだ。
売店へと走った乗客を再び車内に吸い込んで6時31分、
<サンライズ瀬戸>瀬戸大橋へと続く宇野線へ足を踏み入れた。

 岡山市街を抜け、塩田が多々あった土地を駆け抜ける。
茶屋町を過ぎると宇野線から瀬戸大橋線に入り、新幹線のような
高架橋を走って児島に着く。ここで乗務員が交代となる。
乗客と車掌は一蓮托生だと思うのだが・・・。

 児島を発車すると鷲羽山トンネルを抜けて本四備讃瀬戸大橋に出る。
空は雲に覆われていて朝日は拝めない。だが海上から島々を
見渡せるのはここだけのもの。いつ来てもすばらしい眺めである。
橋とトンネルは人間が地形を克服するために作りだしたもの。
橋ならもっとゆっくり走ってほしいと思い、
トンネルなら早く出てくれないかなと思う。好対照である。

 与島を跨ぐ。
その大半を橋脚のためにささげている健気な島である。
瀬戸大橋ルート上のこれ以上ない位置にあるので、
この橋のために生まれてきたようなものだ。

 北備讃瀬戸大橋に移る。
足の下をタンカーがいく。やがてコンビナートが見えてくると、
頭上にあった高速道路が離れ、四国に入る。予讃線と合流する
大三角地帯は高速道路のインターチェンジのようだ。
讃岐富士こと飯盛山を望みながら坂出に着く。
高松への通勤客が並んでいる。

 坂出から先は讃岐路を進む。
途中の八十場などは讃岐うどんの店が数多くあるそうだが、
<サンライズ瀬戸>は通過してしまう。15分ほどで終点の
高松に着いた。連絡線うどんがある。
しかし胃もたれがひどいというか、気分が悪い。
昨日のアジフライが原因だろうか。
今度は店を変えるべきだと考える。
とにかく胃のむかつきを解消しないことには食欲も湧かない。
キオスクで野菜ジュースを買って飲み、調子を取り戻す。

 40分あったので駅前を歩く。
駅前広場はそのままフェリー乗り場に通じ、再開発されて
“サンポート”と呼ばれている。高いビルもあった。
何かと開発が遅れている四国にも・・・という気がするのは
偏見だろうか。

 玉藻園なるものが高松城址にあった。
堀の端に琴平電鉄・高松築港駅があったので行ってみる。
起点となる駅なのに殊の外、静かな気がする。
人の波に周期があって、信号が変わるたびに波が来ていた。


1.旅のあとさき

3.讃岐路の空に

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