高松駅に戻り、3番線にいく。
行止り式のホームだから階段はない。
駅員は周遊きっぷを見るなり
「楽しんできてください!」の笑顔。
元より楽しむつもりである。

 3番線に入線してきた徳島行の
特急<うずしお3号>に乗る。
<うずしお4号>が折り返すのだが、
5両編成も通勤客が非常に多い。
周遊きっぷは特急列車の自由席が
乗り放題なので4号車自由席に乗る。

 8時20分、定刻に発車すると
ぐんぐん加速する。予讃線を分けて、
昭和町、栗林公園を通過して5分で
栗林に着く。木太町を通過して
源平合戦の屋島、そして古高松南、
八栗口、讃岐牟礼を通過して
志度に停まる。5分おきで
快速列車のように小刻みに停車。
車内も落ち着かない。屋島の合戦
というと、那須与一を思い出す。
平氏方の舟の上で揺れる扇を
射抜いた弓の名人である。

 志度からは市街地が途絶える。
オレンジタウンからローカルムードが漂い、
造田、神前、讃岐津田、鶴羽、丹生を
過ぎる。振子車両らしく車体を傾けながら
いくつもの切通しを抜けてカーブを繰り返す。
山を越えて海の気配がしたかと思うと
三本松に着く。さらに讃岐白鳥、引田に
停まり、播磨灘がちらほら見えながら
讃岐相生と阿波大宮の間で県境を越える。
高松〜徳島間を1時間強で走破するが
停車駅が多い気もする。

 板野からは徳島への流れが顕著になる。
讃岐路から阿波路に入っているが、
空の雰囲気が独特である。北海道のように
青くはないが、九州のように紺碧でもない。
穏やかな青の空に筋雲が流れている。
晩秋だからだろうか。どんよりとした山陰の
日本海側とも、カラッとした瀬戸内の空とも
違って見える。何であろうか。

 阿波川端、収容所のあった板東を過ぎ、
9時19分、池谷駅に到着。ここで下車する。
終点の徳島まで行きたいが、四国で唯一
といってもいいくらいの短い盲腸線・鳴門線に
乗ろうと思う。緩やかにカーブしたホームに
横付けすると車掌が切符の回収に来た。
周遊きっぷを見せて、<うずしお3号>を
見送る。

 池谷駅は鳴門線と高徳線が
“人”の字になって分岐する形をしていて、
その間に駅舎がある。階段を上ると、
線路の合流点から先は2kmほど田んぼが
続いているのが見渡せる。踏切のそばの
畑で作業をしている人がいる。
何だかいい駅で降りたらしい。
少し大きめの駅で、落ち着いた
生活感のある駅は挙げればいくらでもあるが、
ぼくの好きな駅でいうと、北海道の音威子府、
長野の森宮野原、広島の備後落合に
匹敵するくらい風情も穏やかさもある。
そんな池谷駅を好きになったのだった。


2.ミッドナイト・サンライズ

4.鳴門線の短い旅

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四国周遊切符の旅  3.讃岐路の空に
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