階段を渡って鳴門線のホームへ下りる。

鳴門行と徳島行が列車行き違いで停車中であった。
高松行の特急<うずしお8号>が到着したところで接続完了。
乗換え客はおらず、9時29分に発車する。

 進路を東にとり、カーブし終えたところに阿波大谷駅がある。
駅のそばにある踏切にはコスモスが咲いていた。
発車するとさらに咲き乱れる。“友好のコスモス”と書かれた
旗が立っていた。街を上げてコスモスを植えているらしい。

 立道を過ぎて教会前に着く。
その次の金比羅前も駅舎はなく、ホーム出入口からは
すぐに畦道となる。荷台にキャベツを満載した軽トラックが
走り出していった。沿線では農作業をしている人たちが多い。
こんなに多いのは南九州の薩摩半島以来である。
四国の車窓の特徴は、どうやらこの辺りにあるのではなかろうか。
線路に近いか遠いかなど関係なく、人々の日常生活が
そこにあると思う。車内にいながら土地の人々の生活に触れられる。
生活の中に線路が敷かれているような印象を受けるのである。

 明日行く祖谷渓では、地形すらも克服して、なぜこんなところに?
と言いたくなるかもしれない。四国とはそんなところである。
四国を訪れるたびに思うことは、日本は狭いわけではない。
地形の険しさゆえに住める場所が限られているに過ぎないということ。
山々の険しさ、偉大さを1つの島に凝縮したら狭さは否めない。
そして本州と海を隔てるために少し昭和の色が濃いように思う。
九州とてそうかもしれないが。

 撫養駅ではホームに花が植えられていた。
教会前、金比羅前とて同様である。撫養を出ると3分で終点・鳴門着。
渦潮でよく知られる町である。が、鳴門大橋までは行かない。
今日は四国の東海岸を乗りつくさねばならない。
駅前の空気を吸ってから5分後の徳島行普通列車で折り返した。

 池谷まで戻り、そのまま徳島まで行く。
高徳線は坦々と走って徳島市に入る。大きな川が現れた。
四国三郎と呼ばれる吉野川である。この川を堪能するのは明日である。
吉野川を渡り終えたところにあるもう一つの小さな川で沈下橋が見えた。
川が増水したら水面下に消え、渡れなくなる橋で、四国には多い。

 高架橋に上がって右から徳島線が近づいてくると佐古に停車。
<うずしお10号>とすれ違い、10時36分には終点の徳島駅に着いた。


3.讃岐路の空に

5.土佐浜街道はいずこ

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四国周遊切符の旅  4.鳴門線の短い旅
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