11月12日(土)

 朝5時半に起きる。
いつものことながら寝覚めがいい。中村駅発6時12分の
特急<南風6号>に乗る。何とやってきたのはアンパンマン列車だった。
あきれてしまうがしぶしぶ乗る。

 7分で土佐入野に着く。
特急列車が停まるとは思えぬような小さな駅。そして土佐入野を出ると
トンネルを抜けて海へ出る。ちょうど日の出の時間ということもあり、
朝焼けが美しかった。雲がきれいに燃えており、美しさを際立たせている。
やはり夜から朝へと移ろう時間は美しいなと思う。

 燃える空と輝く太陽、そして水平線まで見渡せる大海原に清々しさを
感じながら断崖の上を走って土佐佐賀に着く。北海道とはまた違った
海食崖であった。土佐佐賀は「カツオの町」とあった。
なるほど先刻のような美しい海で獲れるカツオだから
あんなにうまいのである。自然はどこまでも恵みを与えてくれているのに
人間はどこまで傲慢になろうというのか。

 土佐佐賀からは内陸に入っていき、上り坂が延々と続く。
<南風6号>は振子機能を生かし、カーブでも速度を落とさずに
くりかえし貫いていく。伊与喜、荷稲を通過すると左にカーブをはじめ、
トンネルに入ってもそれは続く。トンネルを出たところで予土線が
並んできて川奥信号場を通過。右下に先程まで走ってきた線路が見え、
ループ線を通過したと知る。程なく山が開けて四万十川が現れ、
窪川到着の放送が流れる。6時47分、窪川駅着。

 予讃線は末端の宇和島までなのに、
なぜ土讃線が途中の窪川までなのかというと、ちゃんとした理由がある。
土佐くろしお鉄道・中村線の前身である国鉄中村線が開通した折、
「中村は都の貴族・北条基房が開いた土地だから」という理由で、
地元が土讃線と呼ぶことに反対したためらしい。そしてその後の
国鉄再建の波の中で末端線区ゆえに廃止対象となってしまった。
土讃線の延伸区間として計画されながら、その一部とならなかった
ゆえの出来事であった。その後の経営を高知県が引き継ぎ、
宿毛まで延長開業させて現在に至る。
高知県が第3セクターの経営に熱心だから、結果的にはこの方が
よかったのかもしれないなと思う。

 窪川からは普通列車に乗り換える。
7時06分発の高知行は3番のりばに停車していた。土曜だから高校生が
どっと乗ってくる心配はあまりないが、高知着は8時51分なので
どうも嫌な予感がする。しかも高知駅で特急に接続しているので
混みそうな列車だ。どこかで途中下車でもしたほうがいいかもしれない。
混んできた時に考えようと思う。

 トイレが付いていなかったので駅のトイレに行くとお遍路さんがいた。
今日もご一緒できるのかと思うとうれしくなる。窪川を出ると仁井田、
六反地と停まる。四万十川の上流から山を越えようとしている影野で
お遍路さんが降りた。

 列車はサミットを越えて海に出る。
太平洋である。黒潮の海は先程のように燃えてはおらず、
朝日に輝いていた。漁港のある土佐久礼に着く。
対向の普通列車を待って発車すると、断崖絶壁の上を走る。
四万十川がまっすぐに流れずに蛇行するのは、この辺りに
原因があるようだ。山々の一番高いところがそのまま海岸に
つながっているのである。四万十川は海から山へと流れる
稀有な川であった。



12.小京都・中村

14.土佐と日向

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四国周遊切符の旅  13.黒潮の海は燃えて
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