国道、鉄道ともに合流点となる草津駅で途中下車印をもらう。

 下車印をもらったら12時19分発の各駅停車・網干行に乗る。
高槻から快速になると案内しているが、高槻までは行かないので安心して乗る。
何度も乗ったことのある区間だが、単線の草津線から複々線の東海道本線に
入ると新鮮である。新快速電車と7〜8分おきにすれ違う。同じように
貨物列車ともすれ違い、東海道の大動脈ぶりにはやはり目を見張るものがある。

 南草津、瀬田と停まり、石山の手前で川を渡る。
このとき、琵琶湖が上り線の鉄橋の向こうに見えた。やはり大きな湖である。
海ではないのかと見間違えてしまいそうだ。これまでに見てきた湾や浦よりも
はるかに大きい。さすがに滋賀県の面積の6分の1を占めるだけのことはある。

 石山からは膳所、県庁所在地の大津と停まる。
県都の駅であるわりには小ぢんまりとしている。なんというか、人の集まる活気を
もった中心駅というよりは住宅地の駅みたいである。京都まで電車で10分という
位置が災いしているとしか思えない。ここから京阪神に通う人も多いだろう。

 大津を出ると逢坂山トンネルに入る。
ここの線路脇には国内技術で最初に建設された旧東海道本線の逢坂山トンネル
がある。レンガ造りの坑口は大学の研究施設になっているが、いまも残っている。
かつては大津からトンネルを抜け、山科の南側を大きく迂回して京都駅に
至ったという。歴史的な構造物がまだまだ東海道には残っているらしい。

 逢坂山トンネルを抜けて12時37分に山科着。
ここで下車して途中下車印をもらう。ここから湖西線に乗り換えねばならないが、
山科には駅弁がない。仕方なく別の乗車券を買ってから隣駅の京都へ向かう。
12時41分発の新快速電車・姫路行に乗り、5分で京都に着く。

 京都の駅弁というのは食べたことがない。
駅弁と呼ぶには上品過ぎるというか、華やかなものが多いのである。
そういったものを普通電車の中で食べるのには抵抗がある。ならば京都に
運ばれてきたものを探すのがいい。都であった歴史をたどればいくらでも
出てきそうだ。目当ては若狭湾からの鯖寿司である。大量に運ばれてきた街道は
鯖街道と呼ばれるほどで、鯖寿司の中でも“焼サバ”を探す。
が、残念ながらなかった。やむを得ず西明石の“ひっぱりだこめし”にする。

 3番線に戻り、13時16分発の湖西線普通電車・近江今津行普通電車に乗る。
京都駅を発車して複々線の外側を進み、13時21分山科着。
ここから最長片道切符のルートに戻り、66番目の路線・湖西線に入る。
各車両10人ずつぐらいが乗ってきた。

 山科から高架橋に上がり、東海道本線と分かれて西大津に停車。
大津市の西側にあり、東海道本線の大津駅同様、市の玄関口の役割を持つ。
その西大津を出てと唐崎、比叡山坂本と停まるうちに右手に琵琶湖が広がった。
高架橋の上からでは見え方がまったく違う。見渡す湖面の向こうには、
先ほどの近江富士が見えた。なるほど、富士山の上半分だけをすっぽりと
切って置いたような形をしている。対岸の山々の中では最も美しい形をしていて
目立つ存在には違いない。多少なりとも近江富士には納得した。

 珍しい駅名の雄琴の次は堅田である。
琵琶湖大橋の西側の地域であり、対岸の守山市とつながっている。
そして和邇、蓬莱と“御伽草子”を思い起こさせるような駅名が続く。
比叡の山々の麓、京都から離れたこの地域は、奈良・平安の昔から人々が
住んできた地域なのだろう。

 琵琶湖に最も近い近江舞子で、大阪行の特急<サンダーバード>とすれ違う。
湖西線は大阪・京都から北陸方面へのバイパスルートであるから踏切がない。
道路で言えば信号がないのと同じで、スピードを出していても事故など
起きようがない。こうして堂々と走っているように見えるが、比叡の山々と琵琶湖
との間にあるわずかな土地に線路と道路が敷かれている。用地難はあったようで
斜面の途中に線路はある。

 北小松では温泉に向かうと思しき大学生の集団が下車した。
近江高島、安曇川、新旭と停車し、14時17分に終点の近江今津に着いた。
途中下車印をもらい、駅前に出ると、竹生島クルージングの乗船券売場があった。
港はここから近いのだろうか。そういえば湖の沖に島が見えていたなと
思い出した。

 3番線に停車中の各駅停車・長浜行に乗り込んで発車を待っていると、
近江今津終着の新快速電車がやってきた。



62.近江富士

64.デッドセクション

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63.琵琶湖のほとり

最長片道切符の旅・21日目
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