土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線に乗る。

 駅名標が何か変だ。
通常なら大きく漢字で“後免”と書かれた下に読み仮名だが、
平仮名の下に漢字で書かれてある。平仮名の“ごめん”が
やたらに大きい。名物の土佐せんべい『ごめん』もここらしい。
注文する時は「ごめんください」というのが通例だとか。
本当だろうか。

 アンパンマンの原作者の出身地ということもあって
アニメのキャラクターがそれぞれの駅にいる。こういうのは
あまり好きではないのだが、これに親しみを持つ子どももいた。
家族旅行に鉄道を使う人が減り、マイカーに押される昨今では
こんな風に鉄道の方から歩み寄ることも必要なのかもしれない。

 ごめん・なはり線は室戸岬への国鉄路線建設事業の
予定線として着工済みの路線であったが、国鉄再建法の
施行により工事凍結に至った。これは四国東海岸を走る
第3セクター阿佐海岸鉄道とて同じことである。
その後、第3セクター土佐くろしお鉄道の一部として
開業させたのだから高知県は元気だなと思う。
実際に元気なのかどうかは知らないが、その力は計り知れない。

 後免から後免町、立田、のいち、よしかわ、あかおか、香我美、
夜須、西分と停まる。新線として開業したのだから踏切など
ほとんどない。高架橋の上をずっと走るので見晴らしもいい。

 太平洋に出る。
桂浜から遠く室戸岬まで続く海岸線である。
しかし高知は台風銀座。年間降水量も多い都道府県であるし、
太平洋は外洋なので高波の危険性は十分にある。
民家と海岸の間は堤防で仕切られ、さらに防風林の松林が続く。
その松林の中に線路は敷かれており、車両の高さが松の高さと
同じになっている。

 和食と書いて“わじき”と読む駅もあった。
球場前という駅もあったから何かと思ったら、阪神タイガースの
キャンプ地である安芸球場のことであった。今日は日曜日だから
駅員がいるらしい。結構多くの人が降りていった。

 ごめん・なはり線の中核駅である安芸に着く。
ここで奈半利行に乗換えとなる。10分あったので駅舎内の
物産展を見るといろいろあった。が、名物というよりも地元で
獲れた魚や野菜ばかりでぽっぽベーカリーのパン以外、
旅人がすぐに食べられそうなものがなかった。

 ホームに戻ると階段がもう一段あると思って
そのまま力いっぱい床を踏んでしまった。
女性車掌と親子連れに笑われる。
よそ見はよくない。あぁ、恥ずかしい。

 安芸を出て伊尾木を過ぎると堤防が寄ってくる。
その向こうの海はよく見えないが、内側の畑では
畑仕事をする人がいたり、昼食をとる人がいたり、
堤防の上を歩くお遍路さんがいたりである。

 唐浜、安田、田野に停まり、鉄橋を渡って終点の
奈半利駅に着いた。これで四国のJRとそれにつながった
第3セクターは完乗である。
このまま室戸岬まで行くのも悪くないが、
今回はあくまで汽車旅を貫きたい。
19分後の快速列車で折り返すことにする。


19.銀色のしおかぜ

21.四国山地のスイッチバック

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四国周遊切符の旅  20.室戸への道
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